ビナセーコーの工場へ

日本を代表する靴ブランドの一つ"Perfetto"を産み出すビナセーコー社へインタビュー

 日本の紳士靴ブランドは数多く存在しますが、その多くは生産をOEM工場で行っています。そんな中、ビナセーコー社はグッドイヤーウェルテッド製法の紳士靴を自社工場で生産する、稀有な存在。日本の紳士靴業界を今後も牽引する貴重なメーカーです。 Perfettoの生産現場であるビナセーコー社の工場を訪問。実際に作り手の方の姿を見ると共に、ビナセーコー社の島村氏よりお話をお伺いしました。

 ① Perfettoとは

 日本を代表する靴ブランドの一つであるPerfetto。Perfettoの靴を生み出す㈱ビナセーコーは、1985年の創業以来、OEMメーカーとして数多くの靴を世に送り出してきました。そうして培った技術をもとに、自らプロデュースするブランドとして2006年に誕生したのが、Perfettoです。Perfettoという言葉はイタリア語で「完璧」の意味。「履く人の為に完璧な靴を作りたい」という想いや、「自分達ならそれが出来る」という矜持が、このブランドネームには込められています。実際に工場で靴を生み出す職人の方々の姿は、この熱い想いを体現していますPerfettoの生産現場は、所謂大量生産の工場ではなく、一人一人の靴職人の方がその想いを体現する場と言えます。

②拘り その一~素材~

 Perfettoの拘りを尋ねると、島村氏が挙げたのは大きく四つ。 

 その一つ目が、紳士靴の素材として代表的な、革。「革の色や質感一つで、靴はその表情を大きく変化させます。つまり、良い革無くして良い靴は生まれません。アッパーだけでなく、底材もイタリアにある底材専門メーカーのものを使用するなど、全ての素材に拘りを持っています。」 Perfettoの靴に使用される革は、熟練のプロの目によって厳選されており、一流の革が使用されている事は一目瞭然です。良い革の入手が難しくなってきていると言われる現在でさえそういった革を使用できるのは、生産者としての弛まぬ努力の賜物です。常に良い革を捜し、海外タンナー(革製造業者)とも良好な関係を築けているからこそ出来ること。今後も、世界中の美しい革が靴に生まれ変わる姿を我々に見せてくれるでしょう。  

③ 拘り その二~木型~ 

 島村氏が二つ目に挙げた拘りが、木型です。

 木型は、靴作りの際の土台となり、見た目の印象を決めるベースにもなります。しかし、見た目のことだけを考えて木型を作ると、履き心地が悪くなってしまう可能性があります。その逆も然りです。「履き心地が良く、見た目も綺麗な靴が出来るような木型を。Perfettoの靴に用いられる木型はいくつかありますが、その全てが履き心地を重視し、見た目とのバランスが保てるよう考え抜かれています。」 履き心地と見た目。靴の最も基本的な要素であり、最も重要な要素とも言えるこの2点を、Perfettoは拘り抜いた木型で両立させています。

④ 拘り その三~機能性~ 

 三つ目に島村氏が挙げた拘りは、機能性です。

 皆様が靴に求める機能とは何でしょうか。 多くの方が口にするのは、「履きやすく、長持ちすること」でしょう。 Perfettoの靴は、まさにこの点において優れたグットイヤーウェルテッド製法で作られています。

 この製法の特徴は大きく2点。1点目は、履きこむ程に足に馴染み、履き心地が良くなってくること。 「日々の着用によって、靴内部のコルクが足の形に合わせて沈み込むことで、履く人の足に合った形へと変化していきます。」 島村氏はこの特徴を強調されており、履き心地への拘りの強さが感じられました。

 2点目は、底材の交換がし易い構造になっており、修理を重ねて長く履けること。靴には様々な製法がありますが、その中でもこの製法は耐久性に優れており、様々な修理に耐え得る構造となっています。10年、20年と1足の靴を愛用する方も少なくありません。

 ⑤ 拘り その四~デザイン~ 

 Perfettoの靴に挙げられる四つの拘り。その最後はデザインです。

 靴に限らず、世の中には様々な分野で流行が存在します。この流行と表裏一体で存在するものが廃りです。「Perfettoが目指すのは、流行り廃りに流されない靴のデザインです。一時的に良いとされるのではなく、どの時代でも普遍的に認められるもの。」 長く愛用して欲しいという、作り手の気持ちの表れです。 これを生み出すのは容易ではありません。人が美しいと感じるものは何か、掘り続けても簡単に答えは出てこないでしょう。 しかし、掘り当てようと汗を流すことで、作り手の想いが靴に宿り、人はそこに普遍的な美しさを感じるのかもしれません。


⑥ 日本の靴作りの担い手として

 消費社会、大量生産、産業の空洞化。そういった裏側で、今スポットを当てるべきは、日本人による物作りでしょう。 本当に良いものを、長く愛用する。人々のそのような生活を支える為に必要なのは、その本当に良いものを生み出す人々です。「Perfettoの生産現場にいるのは、靴が好きで、自分達が作った靴でより多くの人の生活を支えようという意思を持った職人達ばかり。『良い靴を作ること』を使命とし、一足一足に魂を込めています。」明治時代から世界に認められてきた、日本人による靴作り。現代における日本製の靴の代表として、Perfettoは今後も走り続けてくれるでしょう。

(島村氏に工場を隅々まで案内して頂きました。)

⑦ Perfettoのこれから 

 「より多くの人に履いて頂ける靴を」 「革靴をより身近に」 「日常の一部にPerfettoを」 「もっと履き心地に拘りたい」 今後どういった靴を作っていきたいかという一つの質問に対し、その答えは溢れんばかりの勢いで出てきました。全ての答えに共通していたのは「履く人に幸せな気持ちになってもらいたい」という揺るぎ無い気持ちでした。


⑧ 最後に。愛され続けた1足をご紹介

 ビナセーコー社と WFG(ワールドフットウェアギャラリー)の出会いは2003年。ビナセーコー社社長が、1足の靴を手にWFGにいらっしゃったのが始まりです。

 「いつか世界トップレベルの靴を」そんな想いで試行錯誤を重ね、ビナセーコー社が展開する自社ブランドPerfettoの取扱いがWFGで始まったのは2006年。それから現在まで、変わらずに愛され続けてきたモデルが、こちらのセミブローグです。爪先のメダリオンは、よく見るとWorld Footwear Galleryの頭文字であるWの文字となっています。「より多くの方に良い靴を」ビナセーコー社とWFG双方の熱い想いが込められた一足です。 

 World Footwear Galleryでは常時Perfettoを取り扱いしています。

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1979年の創業以来、世界中の本格靴を中心に皮革製品のご紹介を通し靴文化を始めとする細やかなライフスタイルのご提案に努めています。ここでは靴の魅力や役に立つ情報を配信予定。イベントや商品についての最新情報は公式HPをご覧ください。

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