世間では『クラシック回帰』などと言われ久しい昨今、弊社ではそんな風潮どこ吹く風と、独自の路線をひたすら歩んでまいりました。
そんな弊社の最新作をいち早く知っていただくために毎シーズン新作カタログをご用意しているのですが、今回は弊社ディレクターである日高へ新作と今後の傾向についてインタビューを致しました。
-----さて日高さん、2018A/Wのカタログも完成し、好評を頂いてますが今期のコンセプトについてご説明を頂けますか?
日高ディレクター(以下、日高D):今期のコンセプトは2020年代前夜。
2000年代から2010年代に変わるときとは比べ物にならないほど大きな時代の変わり目を感じています。
2019年8月の創業40周年を迎えるにあたってワールド フットウェア ギャラリー(以下、WFG)のあり方を考えたときに、我々も大きく変わらないと存在価値が失われてしまうという危機感を持っています。
今季は過去を見直し、2020年代に価値のある店舗にするための品揃えを展開しています。
この10年間こだわってきた3万円代のビジネスシューズの深化を目指し、メイドインジャパン〝オリエンタル〟の充実を図り、ラバーソールの新作を発表しました。
〝ミヤギコウギョウ〟はあえて新モデルを発表せずに新しい木型の4モデルだけをお客様に提案しています。
また〝ペルフェット〟もサイドレースのみが新作であとは定番モデルのサイズ充実を図ります。
〝オリエンタル〟のべべルドグッドイヤーの新作はショートサイドゴアを追加し、更なるファンの拡充を目指しています。
ストレートチップ以外のシンプルなビジネスシューズの提案として従来より継続している内羽根プレーントウとオステリティブローグ(メダリオン無しの内羽根ウィングチップ)を新たな提案として追加しました。
--今後はどういったスタイルが注目されますか?
日高D:すでにスニーカーブームが終わり、今夏はスーツ以外でも革靴を履く流れがあります。
また、オフのスーツ着用も見逃せません。
注目はスクエアトウのドレスカジュアルです。
今季はまずドレス用の木型でショート丈のサイドゴアブーツを提案し、来季以降にはカジュアルのスクエアトウを提案したいと考えています。
---今季のスクエアトウのショート丈サイドゴアは確かに人気がありますね。これは爆発的ヒットの予感がします!!
来季のカジュアルスタイルのスクエアトウにも期待ですね。
---話は変わりますが、今季は待望の〝ドゥジエール〟が復活しますが?
日高D:WFGの歴史を顧みたときに欠かせないのがオパンケ製法です。
フランス人デザイナー、ジョルジ・ダ・クーニャによって生み出されたこの底付けは、
プーマのスニーカーから着想されました。スポーティでエレガント。これがこの製法の本質です。
WFGから発信されたこの底付けは、まずサントーニがWFGのカタログを見て取り入れました。
その後、マグナーニがこの靴をWFGで購入してスペインに持ち帰り、オパンケコレクションを作りました。
世界に影響を与えたこの製法はWFG経由で広がったのです。
---なるほどオパンケ製法の普及に弊社も一役買っていたんですね・・。
日高D:そこで今季、2020年代に新たなスポーティ/エレガンスシューズを発表するために〝ドゥジエール〟を復活させました。
私は2020年はスポーティ/エレガンスシューズの時代だと思っています。アウトドアではなく、スニーカーでもなく、カントリーシューズでもなく、あくまでも都会的でスポーティなレザーシューズの時代だと思っています。
---ドゥジエール復刻のポイントはどんな点ですか?
日高D:このブランドのデザインの多くはWFGとの協業で出来上がっています。今季は今まで人気のあったデザインを掘り起こして復刻しています。
今後は新たなデザインを、メーカーとWFGスタッフ皆で作り上げていきたいと考えています。
---今後のニューモデルも楽しみですね!!
---〝ドゥジエール〟は復活早々に大きな反響を頂いてますが、人気の秘訣は何でしょうか?
日高D:この靴の良さはオパンケ製法特有の柔らかい履き心地は勿論のこと、スーツに難なく合わせられるのに、リラックスした雰囲気、生活を愉しむ余裕を演出できるところです。
医師や起業家たちに人気なのも頷けます。
---ドゥジエールの持つラグジュアリーな雰囲気が多くのお客様に認知されているという事ですね。
---その他のブランドではどのような傾向が見られますか?
日高D:今人気なのは英国調のドレスシューズとカジュアルな格好に合わせられる靴です。具体的には、両方を併せ持ったクロケット&ジョーンズのタッセルローファーやマッドガードチャッカブーツ。 カジュアルに特化したものではパラブーツ、ソロビエールと言ったところでしょうか。WFGで言えばオリエンタルのジョセフ、C.アングレーズのUチップなどです。
---確かにオリエンタルのジョセフなどは爆発的ヒット商品となっていますが、その理由はどこにあると思いますか?
日高D:やはり昨今のビジネススタイルのカジュアル化が大きいと思います。シンプルなポロシャツ+コットンパンツ、ジャケット無しで仕事ができる方も多く、でも足元はスニーカーという訳にはいかないという方がほとんどです。また、ショーツなどのカジュアルスタイルを品よく、格好よく魅せる為には、長袖のシャツを着たり、革靴を履いたりする必要があり、その時の足元としてもそのような靴が有用になります。 何といっても、普通の革靴とスニーカーは既に持っているという方が多い中、新たな需要が生まれているのがその分野の靴です。 今まで黒の紐靴を数足と休日用のスニーカーかドライビングシューズだけでよかった方々が茶色のタッセルローファーを必要としている点にも表れていると思います。
---今後はカジュアルでありながらエレガントなスタイルがキーワードとなりそうですが、あまり流行り廃りを追わない弊社としては、何を目指し表現していきますか?
日高D:当たり前のことですが〝真に良い靴〟を目指したいです。 これは雑誌が言っているから、とか、ピッティで履かれているからとかではなく、人々が本当に一生手放したくないと思える靴を目指します。 その形はきっと人それぞれですが、本質は手のぬくもりのある靴。 足に優しい、また歩行補助に優れた、そして永年愛着を持って履きたくなるストーリーのある靴。そんな靴をお客様に届けていきたいですね。
---以上,日高ディレクターに2018A/W新作と今後の展開についてのインタビューをお送りしました。
今後も新作やそれに纏わる裏話などお伝えできればと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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