1930年代初め、フィレンツェのアルノ川沿いに小さな工房を構えていたAngiolo Manetti氏が1937年にその近くに工場を設立したのがDUCALです。ハンドソーンウェルト製法によるドレスシューズメーカーとして、正統のものづくりを志しました。
DUCALの歴史、ひいてはイタリアのドレスシューズ史の証人である現オーナーによると、デュカルの靴は当時から高級で、イギリスやアメリカのメーカーに比して洒落ており、イタリア中で映画『ローマの休日』そのままの雰囲気で紳士の足元を飾っていたといいます。1950年代から1960年代にかけて、世界中に輸出されはじめたDUCALの靴は、メッシュの靴、特に白と黒や茶のコンビネーションシューズで評判を得ました。ホワイトバックスやカーフレザーに施したパンチングメッシュの古いサンプルがフィレンツェの工場に現存しています。
創業者のManetti氏によって培われた経験と技術は、家族だけの伝統でありつづけ、4代目の現オーナーは代々受け継がれてきた信念を守り、完璧な個性と高い品質を伝統の中で示し続けています。厳格な信条に従い、高度な技術を要する伝統的な製法を用いているため、DUCALが年間に生産できる靴の数はとても限られています。
使う素材にも強いこだわりをもっており、フランスとイタリアの最高峰のタンナーから仕入れた上質な革のみを使用しています。
現在デザイナーを務めるのは、娘のマリアリーサ。彼女がデザインする数々の靴は、どこかにコンビネーションを用いていることが多い。モダナイズされたラストはもちろん、色使いもコントラストの弱いシックな物が多いが、創業当時から誇る色気はいまでも英米の靴に負けない正にイタリアの誇りを顕した靴ばかりです。
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