茶色スエードのサイドゴアブーツ

 1995年頃、"OP"という雑誌があり、そのファッション特集を見て私はファッションの業界に飛び込むことを決意しました。当時私はイギリス製薬会社のMR(営業マン)として栃木県で仕事をしていたので、世界的なファッションの情報は雑誌からがほぼすべて。たまに東京へ行って渋谷、原宿でファッションの空気を吸う程度で、毎日ファッション雑誌のページを繰っては世界の空気を感じるのが日課でした。


 "OP"という雑誌は現GQ編集長の鈴木さんが創った雑誌で、ロンドンの取材が充実していたのを覚えています。ジャーミンストリート、サビルロウに並ぶ店の数々を取材した記事を見て自分も行ってみたいとは思いましたが、生来それほど旅行が好きというわけではなかったので、そのうちいつか、という程度にぼんやり考えたのを思い出します。  縁があってワールド フットウェア ギャラリーで仕事をすることになり、2001年に仕事で初めてロンドンを訪れました。雑誌で見た店が並ぶストリートを見て回り、それはもう感動しました。T.M.Lewin & Sons、Hilditch &Key、Turnbull & Asser、Edward Green、Foster & Sons、Crocket & Jones、Tricker's、Huntsman&sons、Henry Poole & Co.。。。ただ、店内に入るのはなかなか勇気がいる店構えの店ばかりで、実際にそこで買い物が出来るほどお金が無かった当時、ここだけは絶対に入店して買い物したいと思っていた店が、オズワルド ボーテングの店でした。


 サビルロウ1番地。雑誌"OP"で特集され、ネクタイとシャツは渋谷のセレクトショップで買ったことがありましたが、スーツはさすがに着る勇気が無かったのを覚えています。直線的なカッティングが特徴的で比翼のジャケット、ダブルで1つボタンなどエレガントかつアヴァンギャルドなスーツは製薬会社の営業マンが病院の廊下で着るスーツではありません。


 1990年代当時、デザイナーのオズワルド ボーテング本人は、全てのスーツに茶色スエードのサイドゴアブーツを履いていました。そのエレガントな着こなしは今でも鮮明に覚えています。今季は是非スーツ、タイドアップに茶スエードのサイドゴアブーツを合わせたいです。  結局、初めてのロンドン、サビルロウ、念願のオズワルド ボーテングでは買い物をしませんでした。いくら好きだからと言っても、いくら思い入れがあったとしても、自分に似合うものを着こなすのがファッション業界人としてのマナーだからです。

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