【ORIENTAL Goodyear Collection 新作① 】
2019年春夏、オリエンタルのローファーのラスト(木型)をアップデートしました。ボリューム感が特徴で、アメリカ・イギリス靴に通じる王道の形をしたラストで作っています。このラストでコインローファーとタッセルローファーの2モデルを作成しました。
まずご紹介するのは、タッセルローファーのBLACKWELL(ブラックウェル)です。より高級感を感じさせるひと手間である、革のツイストも施したタッセルになっているため、見た目にスマートさを自然に演出できるようになっています。 また、見た目の部分にも一工夫をしています。ノーズの長さを程よくとったことにより、タッセルローファーにありがちなショートノーズで子供の靴のような「幼さ」を払しょくしました。
もちろんカカトは日本人向けに小ぶりになっていて、グッドイヤーウエルト製法にありがちなカカトの抜けが極力起きにくいようにしています。ローファーでカカトの抜けが起きないように配慮することは、メーカーの当たり前の仕事と言えば、当たり前なのかもしれませんが、日本人のカカトの小ささを肌身でわかったうえで実現できるのが日本のブランドのいい所です。
王道にひと手間加えて、アップデートしたタッセルローファーをお楽しみください。
【ORIENTAL Goodyear Collection 新作② 】
タッセルローファーBLACKWELL(ブラックウェル)に引き続き、新型ラストを使ったのはコインローファーRICKMAN。
こちらもあくまで大人っぽい雰囲気に仕立て上がるように、仕立てたコインローファーです。カラーはライトブラウンです。 夏らしく、今までにないカラーリングのローファーを展開したいと思います。夏向けの明るいカラーのローファーは探すとなかなか見つからないですよね。市場に並ぶ靴と一味違ったものを追い求めていきたいと思っております。
フォルムはボリューム感があるのが特徴で、アメリカ・イギリスの王道のトラッドローファーを彷彿させる内容になっています。
春夏はすぐそこ。アサッカーやコードレーンの爽やかなジャケットに合わせてみると素敵なコーディネートが完成いたします。
【ORIENTAL Goodyear Collection 新作③】
オリエンタルの人気モデルのひとつ、ホールカットのNEWMAN(ニューマン)にも春めく新カラーが登場します。
新カラーはネイビーです。ネイビーカラーの靴は春夏になると履きたくなる靴のひとつです。何と言っても清涼感がありますね。
ホールカットは、一枚の革を木型に吊り込んで作った靴です。傷ひとつない無欠点の革を使わなければならないため、非常に贅沢な作りとなっています。そのホールカットのデザインを大胆にネイビーカラーに染色し、春夏にピッタリのカラーリングに仕上げました。ストレートチップのような一文字もなく、ウイングチップのような目立つ装飾もないため、まったくのプレーンなデザインになります。よって光による陰影が最もでやすくなります。このことから、手染めの靴ではホールカットのスタイルは重宝されています。
暖かな陽射しが降り注ぐ、晴れた春の日には爽やかに履いてみませんか。
【ORIENTAL Goodyear Collection 新作④】
オリエンタルの靴はどれも人気ですが、ここ最近のイギリス調のファッションスタイルの隆盛に伴い、靴もトラッドなものを好んでお選びになる方が増えていらっしゃいます。そこで私たちが目を付けたのが、フルブローグの靴でした。 普遍性の極みともいえる「至極普通のフルブローグ」を作っていただきたい、そのようにオーダーを掛けたのがちょうど1年少し前のことです。そしてオリエンタルが完成させたのが、REDMAYNE(レッドメイン)でした。
今回、私たちはこのREDMAYNEの魅力をさらに引き出すべく、グレインレザーを利用したREDMAYNEの作成を試みました。フルブローグとグレインレザーの相性の良さは言わずもがな。 トラッドでベーシックな靴が出来上がりました。それでいて、少し変化を感じていただける内容になっていると自負しております。
いわゆるスコッチグレインレザーほど型押しの粒がハッキリと主張しないレザーのため、オフィスでのスタイルにも難なく合わせることができます。 グレインレザーは雨天の際も、比較的安心してお召し頂けるのが、心強いポイントです。
【ORIENTAL Goodyear Collection 新作⑤ 】
景気とファッションは大きく関連しています。 今、日本のファッション雑誌をみると、ミニマルでストイックなファッションスタイルに自然と傾倒していると思います。これは当然の流れかもしれません。 この「雰囲気」は1960年代のイギリス映画に登場する人物のファッションに類似していると感じるのです。
1960年代のイギリスといえば、「イギリス病」に陥り、1960~70年代に経済成長が長期的に停滞しました。その時代に撮影されたイギリス映画の登場人物の背広姿を今一度仔細に見直しましょう。 多くは無地、遠目には無地に見えるような微細な柄物のスーツでラペルはやや細め。ネクタイも派手な柄物は少なく、無地のものもしばしば見かけます。 腰回りはプリーツが入ってゆったりしていても、足先に向けてテーパードしスマートな見た目とベルトレスでサイドアジャスター仕様のスラックス。 特にこのスラックスのシルエットの現状は、60年代のイギリスのスタイルに酷似しています。 白洲次郎が60年代、かの有名なサヴィルローの老舗テーラー、ヘンリー・プールで誂たスーツもナローラペルであったというくらいですから、ミニマルなスタイルが当時のイギリスの風潮・雰囲気となっていたことは明らかです。
そして、このようなスーツスタイルに決まって合わせている靴がⅤフロントプレーントウダービーでした。今日においても、このミニマルスタイルは色褪せないタイムレスな雰囲気を具えています。 私たちは、この「タイムレスなスタイル」を実現可能とするプレーントウダービーシューズの製作をOrientalに依頼しました。
そして出来上がったのがこの3アイレットVフロントダービー。極めてシンプルなスタイルですが、こだわり抜いて作ったプレーントウです。 プレーントウダービーは正直に申し上げると、製造工程が単純な分、安価な靴にもよく見受けられる靴です。 しかしスマートでスタイリッシュ、ことに今回のテーマである「タイムレスな装い」を完成させることのできる完成度の高いプレーントウダービーはなかなか見当たりません。なぜならば羽根の形、位置、アイレットの感覚、ノーズの長さ、全てがバランスよくまとまらなければ、途端にデザインは破綻してしまうから。 これらの抽象的で形作るのに難度の高い注文を、非常に高い質で完成させたOrientalの感性には感服するばかりです。
今、世の男性に必要なのは、いばらの道も寡黙に耐え、苦痛を表に出さず、スイと仕事をこなすのを後押しさせる力強いタイムレスな靴ではないでしょうか。
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